2018年平昌オリンピック、フィギュアスケート男子シングル。羽生結弦選手が66年ぶりの快挙となる2大会連続の金メダル獲得を成し遂げてくれました。
日本中、世界中がお祭り騒ぎのような感じさえします。そんな中、羽生結弦選手と2010年バンクーバーオリンピックで金メダルを獲得したキム・ヨナ選手には、ある共通点があるように感じています。
そして、平昌オリンピックで銀メダルとなった宇野昌磨選手と2010年バンクーバーオリンピックで銀メダルを獲得した浅田真央選手にも。
4人の選手の戦い方の共通点について見ていきましょう。
羽生結弦と宇野昌磨の戦い方の違いとは?
2018年韓国で行われた平昌オリンピック。羽生結弦選手は足首の怪我からの復帰戦となり2連覇の偉業を成し遂げることが出来るのかと、心配されました。
怪我の具合は、本当のところ金メダルを取った現在でもあまりよくはないようです。ですが、金メダルを取った今、その精神力に脱帽です。
その羽生結弦選手の戦い方、それは、ジャンプの構成や出来栄えに関する部分で、宇野昌磨選手とは対照的だと考えます。
難しい難易度のジャンプに挑戦し、高い得点からの減点も想定した演技をする宇野昌磨選手に対し、ジャンプの難度を下げてでもGOEが加算される質の高いジャンプをする羽生結弦選手。
2人の戦い方は、対照的です。
例えば、2018年平昌オリンピックでの羽生結弦選手と宇野昌磨選手のフリー冒頭のジャンプ。羽生結弦選手は、4回転サルコウ(4S)に挑戦しました。基礎点は10.5。宇野昌磨選手は、4回転ループ (4Lo)に挑戦。基礎点は12.0。
基礎点だけ見ると、羽生結弦選手のが1.5低い得点となります。ですが、プロトコル(採点表)では、羽生結弦選手は、GOEの3が加点され13.50。宇野昌磨選手は、転倒したディダクション(減点)があり、8.0というスコア。
結果的には、羽生選手のが4.5高い点数を獲得しました。1つのジャンプの例ですが、羽生結弦選手の戦い方を象徴している部分のようにも感じます。
浅田真央とキムヨナとの共通点も!
2010年バンクーバーオリンピックでも、2018年平昌オリンピックで羽生結弦選手と宇野昌磨選手のようなことが起きていました。
日本代表として参加して金メダルを期待されていた浅田真央選手、韓国代表として出場していたキム・ヨナ選手。
当時のキム・ヨナ選手は、トリプルアクセルを飛びませんでした。日本では、トリプルアクセルを武器に戦う浅田真央選手が金メダルを獲得するのだろうと期待がありました。
終わってみれば、キム・ヨナ選手が金メダル。浅田真央選手は、銀メダルという結果。
この時の戦い方、それが、質の高いジャンプで確実にGOE(出来栄え点)を積み上げていくキム・ヨナ選手に対し、少しのジャンプミスはありながらも果敢に難易度の高いトリプルアクセルに挑戦する浅田真央選手。
トリプルアクセルで、全米フィギュアスケート選手権で平昌オリンピック代表を勝ち取った長洲未来選手にも共通している部分のようにも感じます。
2010年バンクーバーオリンピックでのキム・ヨナ選手と2018年平昌オリンピックでの羽生結弦選手、そして、2010年バンクーバーオリンピックでの浅田真央選手と2018年平昌オリンピックでの宇野昌磨選手。
戦い方、戦術は受け継がれているのだとも感じました。
コーチ・ブライアン・オーサーのオリンピックで金メダルを取る方法とは?
そして、2010年バンクーバーオリンピックの時のキム・ヨナ選手が指導を受けていたのが、ブライアン・オーサー。2018年現在の羽生結弦選手のコーチでもあります。
そして言わずと知れたことかもしれませんが、浅田真央選手と宇野昌磨選手は、名古屋大須スケートリンクの 山田満知子コーチに指導を受けてきました。
現在は、 山田満知子コーチとともに指導にあたっている樋口美穂子コーチが試合に帯同していますね。そんな伝統あるスケートクラブの戦い方、受け継がれているのだと感じました。
そしてフィギュアスケート、オリンピックで金メダルを取る方法は、技の難度を下げてでも確実にGOE(出来栄え点)を積み上げていくことなのかもしれません。
2018年平昌オリンピック以降、ルールの改定があるをも言われています。ジャンプの難易度の重要性よりも、より表現力や技の正確性が大切になるという話も聞こえてきます。
どんな規定になろうとも、そのルールの中で勝つだけ、との羽生結弦選手の力強い言葉もありました。今後のルール改定や選手たちから目が離せません。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。